Kashi01
第 4 章  /  Chapter IV

我々が探しているのは、
共に答えを探す人

pilot 募集の記事として、 これを書くのは少しおかしい。
けれど我々は、 売り込む相手を探していない。
一緒に、 まだ言葉になっていない問いに向き合ってくれる人を探している。

ここまで読んでくださった方には、 我々が何を作っているか、 そして何を作っていないかが、 おそらく伝わっていると思う。 Kashi は、 対話の 内容 ではなく 構造 を見る。 誰が何を言ったかを記録するのではなく、 「言葉が誰のところに届いていないか」 を時間軸で見る。 監視ではなく、 気づきの補助線として。

では、 なぜ我々はいま、 ふつうの 「pilot 募集ページ」 ではなく、 こんな長い文章をあなたに読ませているのか。

理由は一つだけある。 ―― 我々はまだ、 正解を知らない

「対話不全に、 早く気づける道具」 ―― そういうものがあるべきだ、 とは確信している。
けれど 「具体的にどう設計すれば、 マネージャーが本当に使い続けてくれるか」 については、 まだ問いの最中にいる。
― Kashi 共同創業者ノートより

§ 1正解を持っている SaaS ではなく、 問いを持っている SaaS

多くの B2B プロダクトは、 検証済みの解を、 既知の問題に届けようとする。 「あなたの会社の問題は X です。 我々の製品が Y で解決します」 ―― この方程式は美しく、 効率的で、 商談を回しやすい。

けれど、 対話不全の早期検知は、 まだその方程式の中にない。

正確にいうと、 大学の研究室やオープンソースの試作品のレベルでは、 解の輪郭はある。 退職予兆研究、 組織心理学の温度感調査、 1on1 の効果計測 ―― それぞれが部分的に何かを示している。 ただ、 これを あなたの組織 の、 実際の音声 / 議事録データ に当てて、 マネージャーが翌週も触りたくなる体験 にまで落とし込んだ事例は、 まだ少ない。 我々が知る限り、 商用 SaaS としてはない。

だから我々は、 完成品を 「使ってください」 と頼む立場にいない。 我々はまだ、 一緒に答えを彫り出してくれる人を探している段階にいる。

§ 2共同創業者からの率直な告白

FOUNDERS' NOTE

「正直に言うと、 我々は組織開発の専門家ではない。 検知ロジックは何度も書き直してきたし、 これから先も書き直すと思う。 けれど、 だからこそ、 実際に組織を率いている方の感覚を、 我々のロジックの上に重ねたい。」 ― 創業者 A

「我々が一番こわいのは、 『見えなかったものが見えるようになる』 道具を、 マネージャーが現場の人を見るための窓に変えてしまうこと。 そうならない設計を、 あなたの組織の文脈で一緒に検証してほしい。」 ― 創業者 B

この vulnerability を最初に書いておきたかった。 もし 「完成品の SaaS を、 リスクなく使いたい」 という期待でここまで来てくださったなら、 おそらく今のフェーズの Kashi は、 あなたが探しているものではない。

逆に、 「自分の組織で何が起きているか、 まだ言葉になっていない部分を、 道具と一緒に言語化してみたい」 という関心があるなら、 我々はあなたと話したい。

§ 3我々があなたにお願いしたい四つのこと

共同探究のかたちは、 一般的な pilot よりも少し深い。 何をお願いするのか、 隠さずに先に書いておく。

  1. あなたの組織のデータと、 真摯に向き合わせてほしい
    実際の会議音声、 1on1 の議事録、 過去の退職者の在籍中の対話履歴 (あれば) ―― 範囲はご相談しながら、 慎重に決めます。 データの取扱いは契約と SOC 2 相当の運用で固めますが、 何より大事なのは、 我々が頂いたデータを 「販売資料の見本」 ではなく、 一緒に問いを深める材料として扱う、 という姿勢の部分です。
  2. 月に一度、 一時間、 我々と問いを交換してほしい
    Kashi が何を表示しているか、 それがあなたの現場の感覚と合っているか / ずれているか。 ずれているとしたら、 どこから手を入れるべきか。 我々はこれを 「導入支援」 ではなく 「共同思考」 と呼んでいます。
  3. 気持ち悪さを、 早く教えてほしい
    「なんかこの表示、 監視っぽく見える」 「マネージャーがこの数字を人事評価に使い始めそうで怖い」 ―― そういう違和感を、 我々が気づく前に教えてください。 設計はそのために変えます。 我々が canon として公開している 「やらない宣言」 (監視 NG、 検知という言葉を使わない、 健康スコア化しない) は、 こうしたフィードバックを受けて、 一緒に書き直し続けるものです。
  4. うまくいかなかった時に、 静かに撤退できる関係を一緒に作ってほしい
    Kashi が貴方の組織に合わない、 という結論になることは普通にあります。 その時に、 お互いを責めずに、 学びを記録して別の道を行ける ―― そういう関係性を最初から設計したい。 そのために、 共同探究の期間中はいつでも、 ノーペナルティで終了できる契約にしています。

§ 4共同探究の、 おおよその時間軸

具体的な期間や金銭の話は、 物語の途中で書くのは野暮かもしれない。 けれど、 不透明なまま 「話を聞かせてください」 と書くのも、 我々の誠実さに反する気がする。 だから、 おおよその時間軸だけ、 ここに置いておく。

Week 0
対話する
まず話す。 売り込みではなく、 お互いの問いと制約を確かめる時間。 1 時間ほど。
Week 1–2
範囲を彫る
どの部門の、 どんなデータと、 どんな問いから始めるか。 一緒に決める。 契約とデータ取扱いもこの間に。
Week 3–10
並走する
およそ 2 ヶ月。 毎週か隔週で、 Kashi が見ているものとあなたが感じているものを照らし合わせる。
Week 11–12
手放す or 続ける
合わなければ、 学びを記録して静かに終わる。 続けるなら、 次の問いに進む。

金銭面については、 共同探究の期間中は費用をいただきません。 ただしこれは 「無料 trial」 という意味ではなく、 我々もあなたから 「答えを探す時間」 を頂いている、 という双方向の交換だと考えているからです。 利益相反の整理や、 競合関係の確認は事前にきちんと行います。

§ 5こういう方とは、 たぶん話さない方がいい

最後に、 正直に書いておく必要のあることがある。

もし以下のいずれかに当てはまるなら、 今のフェーズの Kashi は、 おそらくあなたの期待に応えられない。 我々もお互いの時間を大事にしたいので、 先に書いておく。

「離職率を◯ % 下げる ROI を、 半年で証明してほしい」 という前提 ―― 我々は数値の改善を約束できる段階にいません。 共同探究の中で、 何を、 どう測れば、 あなたの組織にとって意味があるかを一緒に決めるところからです。

「誰がパフォーマンス低下しているか、 個人単位で教えてほしい」 という期待 ―― これは我々が、 製品として、 設計として、 提供しないと決めていることです。

「導入の意思決定に複数の役員稟議が必要で、 共同探究のプロセスを途中で説明資料化しないといけない」 という制約 ―― 共同探究は本質的に、 まだ言葉になっていないものを扱います。 途中段階を社外向けの資料に固める必要があると、 探究そのものが歪む可能性が高い。

これらに該当する場合は、 今は無理に話さなくてよいと思います。 もう少し製品が固まった段階で、 改めて連絡をいただければ嬉しいです。

— § —

§ 6では、 どんな方なら ―― という問い

逆に、 我々がいま一緒に歩きたいのは、 こんな関心を持っている方です。

自分の組織で、 数字に出る前の何か ―― 退職、 メンタル、 信頼の摩耗 ―― が起きていることを薄々感じていて、 けれど 「サーベイ」 や 「1on1 ツール」 の延長線では届かない、 という直感を持っている方。

「会議の議事録は溜まっていくのに、 そこから何が見えているのかが言葉になっていない」 「マネージャーが感覚で動いているけれど、 その感覚を後から振り返る手段がない」 ―― そういう、 言語化されていない違和感を、 道具と一緒に言語化してみたい方。

そして大事なのは、 その違和感を、 個人を監視することではなく、 対話を作り直すために使いたい、 と思っている方。

もしあなたがそういう関心を持っているなら、 ここから先は、 我々が長く書きすぎる前に、 直接話した方が早い気がする。

章末 / END OF CHAPTER IV

もし、 話したい人がいたら。

フォームでも、 短いメールでも、 構いません。 「読んでみて、 こういう問いが浮かんだ」 という一行から始めてもらえると、 我々もうれしいです。 返事は、 共同創業者のどちらかが、 数日以内に書きます。

話したい人へ、 連絡先のページへ

まだ話す段階ではないけれど、 続きが気になる方は ―― 第 5 章 「対話を、 続けるために」 で、 ニュースレターの登録もできます。 月に一度、 我々が学んだことだけを書いて送ります。